top of page
執筆者の写真明裕 橘内

青年たちの聖書研究〜第10回『サムエル記下』編〜

毎月一回、青年会主催の聖書研究会の内容をご紹介してますが、今回で第10回目となります。


【サムエル記下について】

・サムエル記は、元来、一つの書物であったが、長すぎるので、旧約聖書がギリシア語に訳された(紀元前3世紀頃)に分けられた

・サムエル記下の前半では、ダビデは神が共におられたので、多くの戦いに勝利し、まずユダの王となり、更にイスラエル全体の王となった。

・サムエル記下の後半では、ダビデは罪を犯し、家族関係は破綻へと向かっていく。

・神はダビデにその子孫がとこしえに王座に就くことを約束した(7:16)。

イスラエルの民が神に選ばれて油注がれた者、メシア、救い主を待ち望むようになったのは、この契約があったからであると言われている。新約聖書の時代には、イエス様こそがその預言された新しい王であると理解された。

・BC1010年頃~BC970年頃の出来事


【サムエル記下のあらすじ】

*ダビデの勝利

1章 ダビデはサウルとその子ヨナタンの死を悼む歌を詠んだ(17)。

2章 ユダヤの人々はヘブロンでダビデに油を注ぎ、ユダの王とした(4)。

3章 ダビデ王家は勢力を増し、サウル王家は衰えていった(1)。サウル軍の司令官アブネルはダビデ軍の司令官ヨアブに殺された(27)。ダビデは喜ばなかった。

4章 サウルの息子イシュ・ボシェトは殺された(7)。ダビデは喜ばなかった。

5章 ダビデは三十歳で王となり、四十年間王位にあった。七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間エルサレムでイスラエルとユダの全土を統治した。(4~5)ダビデはエルサレムに住み、勢力を増した。(10)

6章 神の箱をエルサレムに運び入れた(17)。

7章 ナタンは預言した「あなたの家、あなたの王国は、あなたの行く手にとこしえに続き、あなたの王座はとこしえに堅く据えられる」(16)。神とダビデの契約

8章 主はダビデに、行く先々で勝利を与えられた。ダビデは王として全イスラエルを支配した(14~15)。

9章 ダビデはヨナタンの子メフィボシェトにサウル家の所有であったものをすべて与え、王子の一人のように王の食卓に常に連なるようにした(9、11,13)

10章 ダビデはアラム軍やアンモン人と戦い、勝利した。


*ダビデの失敗

11章 ダビデはバト・シェバと罪を犯し(5)、夫ウリヤを戦死させた(15)。

12章 預言者ナタンはダビデに「ウリヤを剣にかけ、その妻を奪ったので、剣はとこしえにあなたの家から去らないであろう。」と告げた(9~10)。

ソロモンが誕生した(24)。

13章 妹タマルを辱められたので、ダビデの子アブサロムは、ダビデの子アムノンを憎悪し(22)、2年後(23)、アムノンは殺され、王も家臣も激しく泣いた(36)。アブサロムはゲシュルに逃げ、三年間そこにいた(38)。

14章 ダビデはアブサロムを連れ戻し、アブサロムはエルサレムで二年間過ごした。

15章 アブサロムは王に裁定を求めてやって来る人に、「ダビデ王は訴えを聞いてくれない」(3)と言って、イスラエルの人々の心を盗み取った(6)。アブサロムはヘブロンに行き(7)、イスラエルの全部族に密使を送り、「アブサロムが王になった」と言うように命じた。(10)

ダビデはエルサレムから家臣と共に逃げた(16)。

16章 ツィバはダビデや家臣をもてなし、シムイはダビデたちに石を投げつけた(6)。

アブサロムはイスラエル人の兵士を全員率いてエルサレムに入城した(15)。

17章 アブサロムはダビデ王と戦う作戦を考えた。

18章 ダビデ王はアブサロムを手荒に扱わないように命じた(5)が、ヨアブはアブサロムの命を奪った(14)。

19章 ダビデは息子アブサロムの死を悲しんだ(3)。ユダの人々はダビデに「家臣全員と共に帰還してください」と願った(15)

20章 イスラエルの人々は皆ダビデを離れ、シェバに従ったが、ユダの人々はダビデにつき従った(2)。イスラエル全軍の司令官ヨアブがシェバを殺させた(~23)。


*その他の物語

21章 ダビデの世に、三年続いて飢饉が襲ったので(1)、サウルの息子七人が処刑された(9)。

22章 ダビデの感謝の歌

23章 ダビデの勇士たち

24章 人口調査はダビデの心の呵責となり(10)、イスラエルに三日間疫病が起こった。ダビデは祭壇を築き、和解の献げ物をささげた。主はこの国のために祈りにこたえられ、イスラエルに下った疫病はやんだ(25)。

【注目点】

・サムエル記は、祈りで始まり(ハンナ)、祈りで終わった(ダビデ)。 ・ダビデは次第に勢力を増していったのは、万軍の神は、主は彼と共におられたから    (5:10)。好調の時こそ、神様に感謝していきたい。

・ダビデは失敗もしたが、神に対して悔い改めた。誰にでも失敗はあるが、問題はその罪を真に悔い改めるかどうか、が大切。やり直しの繰り返し。


【質疑応答】


⓵3:19 なぜベニヤミンの人々と話したことを特にとりあげている?


サウルがベニヤミン族出身であったので、ベニヤミン族はサウル家から特別な恩恵を受けていたので、アブネルは、ベニヤミン族に特に説得する必要があったから。


②6:7 なぜ神の箱に触れただけで主は怒った?


神の箱は聖なるものであり、運搬する者が聖なるものに触れて死を招くことがあってはならない(民数記4:15)と、伝えられていたから。


③ 8:1 メテグ・アンマとはなに?


「腕尺の手綱」や「首都の手綱」という意味があり、ペリシテの首都とその周辺の都市を示すと考えられる。


④11:1 「王たちが出陣する時期」とはいつのこと?


11章の出来事はダビデがエルサレムを陥落させて10年ほど経た頃とも言われている。冬の雨季が終わる4月か5月、春の収穫の時期が終われば、戦争に必要な人員と食糧が確保できる時期。


⑤24:1 人口調査をするのは良くないこと?


歴代誌上はサムエル記下のダビデの物語が記されている。

サタンがイスラエルに対して立ち、イスラエルの人口を数えるようにダビデを誘った。(歴代誌上21:1)

24:10人口調査を行ったことは、罪、悪、愚かなことであると、心の呵責となった。そして、三日間疫病がもたらされた(15)

自分の力を誇示する要素も含まれるため。


【感想】

・神の箱が落ちそうになり、それを支えようとして触れた人に神が怒る場面を読み、とても厳格な神の一面を知った。

・ダビデという非常に優れた王であっても、神様の前に罪を犯してしまう人間なのだと知り、今までそのような一面はあまり知らなかったのでそういったこともはっきりと聖書に書いてあり、驚いた。


閲覧数:9回0件のコメント

最新記事

すべて表示

青年たちの聖書研究~第32回『ヨエル書』

2024年7月21日の学びの記録です。 【ヨエル書について】 ・ヨエル書は、12の小預言書(ホセア書~マラキ書)の2番目にあり、預言者ヨエルに語られた主(しゅ)の言葉である。 ・ヨエルは「主(ヤハウェ)は神」という意味であるが、ペトエルの子であることの他は記されていない。...

青年たちの聖書研究~第31回『ホセア書』

【ホセア書について】   ・ホセア書は十二の小預言書(ホセア書~マラキ書)の最初の書で、分量的に少ないので小預言書と言われる。年代順には並んでいない。 ち なみに、大預言書は、 イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書。...

青年たちの聖書研究~第30回『ダニエル書』

【ダニエル書について】 ・ダニエル書は数々の預言が記され、黙示と言われる文学様式で描かれている。黙示は象徴や視覚的表現を多用して、出来事の背後にある意味を示す文学形式で、最終的には神様に忠実な信仰者が様々な敵に勝利することが記されている。(12:3)...

Comments


bottom of page