第7回 聖書研究会 「士師記」 開催日:2022年3月20日 【士師記について】 ・士師は裁判官であった。また政治的・軍事的指導者、 敵からイスラエル人を解放する解放者、救済者でもあった。 ・ヨシュアが死んで以降、土地が各部族に分割された。 イスラエルの民は、大いなる期待を持って約束の地に入った。 しかし、各部族は異教の民を完全に追放することができなかった。 これが問題の根本原因となり、イスラエルの民は、しばしば異教の民に征服された。神は、その都度「士師」と呼ばれる指導者を立て、民を解放した。 士師記は、「敗北と解放の書」である。 ・士師記を通して、歴史の法則について考える。 ( 2 : 11 ~ 3 : 6 ) 士師時代にくり返されるあるパターンが紹介されている。 ①背信の段階 *イスラエル人はバアル礼拝に取り込まれていく。 ②裁きの段階 *隣国の人々を用いて、主がご自身の民を裁かれる。 ③悔い改めの段階 *イスラエルの民は苦難の中から主に助けを呼び求める。 ④士師による解放の段階 *民の叫びを聞いた主は、士師を送り、敵の手から民を救う。 【注目点】 士師たちの時代( 3 : 7 ~ 16 : 31 ) 1 .オテニエル( 3 : 1 ~ 11 ): 11 節 カレブの弟。40年間、平穏であった(11節) 2 .エフド( 3 : 12 ~ 30 ): 22 節 3 .シャムガル( 3 : 31 ): 1 節 4 .デボラ( 4 ~ 5 章): 2 章 ・12人の士師の中で唯一の女性で、女預言者と呼ばれている。 実戦の指導者としてバラクを立てたが、バラクはあくまでも援助者。 ・「 女性(ヤイル)がシセラ(ヤビンの将軍)の命を売り渡す」。とデボラは預言した(4章9節)。シセラの死がカナンの王を滅ぼすに至った(4章23節) 5 .ギデオン( 6 : 1 ~ 8 : 32 ): 3 章 ・マナセ族の中で最も弱い。(15節) ・酒ぶねの中で小麦を打っていたときに、主の御使いが現れた。 「酒ぶね」はぶどう酒製造のための圧搾槽。 敵であるミディアン人に見つからないようにしていた。 ・神の御心を確認するために、しるしを求めた。羊の毛の上に霜が降り、土全体は渇くように。次は、その逆を求めた。 ・3万2千人の兵士を300人に減らした。(7章3節、7節) 水の飲み方で、300人を選抜した。(膝をついてかがんで水を飲んだ者は敵に隙を見せる者と見なされ不適格) 6 .トラ( 10 : 1 ~ 2 ): 2 節 23年間、イスラエルを裁いた。 7 .ヤイル( 10 : 3 ~ 5 ): 3 節 22年間、イスラエルを裁いた。 8 .エフタ( 10 : 6 ~ 12 : 7 ): 2 章 ・ギルアデ人の父と遊女の母の間に生まれた。 正妻の息子たちから差別を受け、ギルアデから追い出された。 ・最初に出て来る者を「全焼のいけにえ」として捧げるとの請願を立てた。 最初に踊りながら出て来たのは、彼のひとり娘であった。 9 .イブツァン( 12 : 8 ~ 10 ): 3 節 30人の息子と30人の娘がいた。 7年間、イスラエルを裁いた。 10 .エロン( 12 : 11 ~ 12 ): 2 節 10年間、イスラエルを裁いた。 11 .アブドン( 12 : 13 ~ 15 ): 3 節 40人の息子と30人の孫がいた。8年間、イスラエルを裁いた。
12 .サムソン( 13 ~ 16 章): 4 章
主の御使いによって、母は胎内にいる時からナジル人であると宣言された。
ナジル人とは、「聖別された者」。
髪の毛を剃られたとき、彼は力を失った。
最後に彼は、約3,000人のペリシテ人を殺した。
*サムソンは聖霊の力によって活動を開始した。
イスラエルの民の崩壊( 17 ~ 21 章)
1 .士師 17 : 6
「そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれが自分の目に正しいとすることを
行っていた」
2 .崩壊の過程
(1)偶像礼拝(17~18章)
(2)不道徳(19章)
(3)内戦(20~21章)
*この時代の数々の失敗が、次の王制に移行するための準備となって
*主は欠点のある者や弱い者を用いてくださる。 *限定的な聖霊のはたらきであった。 ※新約聖書では永遠に及ぶ聖霊の働きが示されている。(使徒2章38節) 【質疑応答】 ①4章19節〜 ヤエルはなぜシセラを水を飲ませてと言われてミルクを飲ませたのか。また、なぜその後殺したのか。 A)殺すつもりだったので、安心させるためにミルクを飲ませたのかもしれません。 ②6章36節〜 ギデオンは神様を試しているがなぜ神様はギデオンの言う通りにされたのか。 A)勇気のないギデオンに対して、神様が寄り添って下さった
6章12節 主の御使いは彼に現れて言った。「勇者よ、主はあなたと共におられます。」 6章14節 主は彼の方を向いて言われた。「あなたのその力をもって行くがよい。あなたはイスラエルを、ミディアン人の手から救い出すことができる。わたしがあなたを遣わすのではないか。」 ③2章23節 ヨシュアの手に渡すとはどういうこと?(この時既にヨシュアは死んでい るのでは?) A)「ヨシュアの手に渡す」とは、「イスラエルの民に渡す」と考えられるが、20節に「主はイスラエルに対して怒りに燃え」とあるので、ヨシュアの時代のイスラエルの民を思い起こさせるために書かれたのではないでしょうか。 ④士師はイスラエル民族全体を治めた? イスラエル民族全体にまで、影響は及ばなかったと言えます。 例)ヤイルは30の町しか治めていない。 ⑤ナジル人というのは、生まれた時から?大人になってからでも、なれるもの? ・大人になってから 民数記6章1~8節 「男であれ、女であれ、特別の誓願を立て、主に献身してナジル人となるならば、濃い酒やぶどう液を一切飲んではならない。頭にかみそりを当ててはならない。死体に近づいてならない。 ナジル人である期間中、その人は主にささげられた聖なる者である。」 ・生まれた時から ギデオン(士師記 13章7節) その子は胎内いるときから死ぬ日までナジル人として神にささげられている サムソンはイエス・キリストの型であるところがある。 【感想】 ・士師と呼ばれる12人の人がそれぞれ行ったことを辿ることができてよかった。
・ナジル人と呼ばれる人とサムソンの聖書物語がつながった。 ・戦いが非常に多く出てきた。今の戦争(ロシアのウクライナ侵攻)のニュースを見ていると、より実感を持って読むことができる。 ・神様に従順な時代と神様の教えに反することを行う時代が交互に繰り返されるが、神様に背くと制裁を与えるのは、親が子供をしつけるのと似ていると感じた。 ・士師記の最後が「そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれが自分の目に正しいとすることを行っていた」と、この後も時代が続いていくことを示し、きれいに完結していない文章で終わっているのが、小説っぽいと思った。
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