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青年たちの聖書研究~第39回『ハガイ書』

  • 執筆者の写真: 明裕 橘内
    明裕 橘内
  • 5 日前
  • 読了時間: 6分

【ハガイ書について】

・ハガイ書は、バビロンにおける70年間の捕囚からエルサレムに帰って来たユダの人々に対して、神殿再建に再び取りかかるようにと書かれた。主からハガイに与えたメッセージが日付順に記されている。

・旧約聖書においてハガイ書は2番目に短く、2章となっている。(オバデヤ書は1章のみ)

・ハガイという名は「祝祭」という意味。ハガイは4か月間預言を行ったが、若い預言者ゼカリヤは数年間預言を行った。この二人の預言者は、神殿の再建を成し遂げるように、民を説得した。(ハガイ書の次がゼカリヤ書)

・紀元前538年、ペルシアの王キュロスは70年間バビロニアで捕囚となっていた南王国ユダの人々にエルサレムへの帰還の許可を与えた(エズラ1:1~4)。約4000人の人々が総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアと共に帰還した。紀元前587年に破壊されたエルサレムの神殿を再建し始めた。神殿の基礎はすぐに据えられたが、近隣の諸民族が神殿の再建に反対し、工事の妨害を始めた。それは南王国ユダが再び強力な国になることを防ぎたかったからである(3:1~4:23)。それから15年間、神殿の再建は中断されたままとなっていた。

・そして、エズラ記 5:1~2

預言者ハガイとゼカリヤが、ユダとエルサレムにいるユダの人々に向かってその保護者であるイスラエルの神の名によって預言したので、

シェアルティエルの子ゼルバベルとヨツァダクの子イエシュアは立ち上がって、エルサレムの神殿建築を再開した。神の預言者たちも彼らと共にいて、助けてくれた。

・ハガイ書では、自分のことを優先して、神様のことを先延ばしにする危険性が語られている。


【ハガイ書の内容】

*1:1~15 神殿再建の呼びかけ

1:1 紀元前520年、主の言葉が預言者ハガイを通して、ユダの総督ゼルバベルと大祭司ヨ

   シュアに語られた。    *総督は政治的なリーダー、大祭司は宗教的なリーダー

1:8 「神殿を建てよ。それを主が喜び、栄光を受ける。

1:9 主の神殿が廃墟のままであるのに、人々は自分の家のために走り回っているので、収穫は少なく、労苦となった」と、主は言われた。

1:14 主がユダの総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアおよび民の残りの者すべての霊を奮い立たせられたので、主の神殿を建てる作業に取りかかった。


*2:1~20 新しい神殿の栄光と祝福

2:1 同年翌月、主の言葉がハガイを通して語られた。

2:4 「ゼルバベルよ、ヨシュアよ、国の民は皆、勇気を出せ、働け、主が共におられる。

2:5  出エジプトの時の契約の通り、主の霊はあなたがたの中にとどまっている。恐れてはならない。

2:7  諸国の民をことごとく揺り動かし、諸国のすべての民の財宝をもたらし、この神殿を栄光で満たす。

2:9  この新しい神殿の栄光は昔の神殿にまさる。この場所にわたしは平和を与える」と万軍の主は言われた。(昔の神殿の方が豪華であったと思う人々がいたので)

2:10 その2ヶ月後、預言者ハガイを通して主の言葉が語られた。

2:11~17「この国の手の業(わざ)もささげる物も汚れている。よく心に留めよ。自然災害で収穫が激減したが、だれひとり、主に帰らなかった。

2:18~19 主の神殿の基が置かれたこの日以後、わたしは祝福を与える。」と主は言われた。


*2:20~23 ゼルバベルへの約束

2:20 同じ日、主の言葉が再びハガイに語られ、総督ゼルバベルに告げよと言われた。

2:22~23 「ゼルバベルよ、わたしは異邦の国々の力を砕く。あなたをわたしの印章とする」(「印章とする」とは、主の権威を与えて治めさせるという意味)


【注目点】 

☆エズラ記 5:1~2の出来事が、ハガイ書に詳しく記されている

エズラ記 5:1~2

預言者ハガイとイドの子ゼカリヤが、ユダとエルサレムにいるユダの人々に向かってその保護者であるイスラエルの神の名によって預言したので、シェアルティエルの子ゼルバベルとヨツァダクの子イエシュアは立ち上がって、エルサレムの神殿建築を再開した。神の預言者たちも彼らと共にいて、助けてくれた。


ハガイ書 1:1

ダレイオス王の第二年六月一日に、主の言葉が預言者ハガイを通して、ユダの総督シェアルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュアに臨んだ。


☆2:1 紀元前520年の仮庵祭の頃、主の言葉がハガイを通して語られた。ハガイという名は「祝祭」という意味なので、祝祭の時期に大切な語りかけを受けたと考えられる。

2:4 「ゼルバベルよ、ヨシュアよ、国の民は皆、勇気を出せ、働け、主が共におられる。

2:5  出エジプトの時の契約の通り、主の霊はあなたがたの中にとどまっている。恐れてはならない。

2:7  諸国の民をことごとく揺り動かし、諸国のすべての民の財宝をもたらし、この神殿を栄光で満たす。

2:9  この新しい神殿の栄光は昔の神殿にまさる。この場所にわたしは平和を与える」と万軍の主は言われた。


☆2:2 民の残りの者

「ユダの総督シャルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュア、および民の残りの者に告げなさい。」

「民の残り者」とは「ユダの家の残りの者」(ゼファニヤ2:7)と同じ人々を示す。主への信仰に忠実な人々であった人々。

イスラエルの民は不忠実だったので神の裁きによって滅ぼされることになったが、神の恵みとあわれみによって、イスラエルの民の中から、裁きを受けても生き残ると約束された人々を選ばれた。新約聖書では、イスラエルの民に限定しないで、信仰に忠実な者を残りの民と見ている。


ローマの信徒への手紙 11:4~5 

しかし、神は彼に何と告げているか。「わたしは、バアルにひざまずかなかった七千人を自分のために残しておいた」と告げておられます。同じように、現に今も、恵みによって選ばれた者が残っています。


☆2:3からハガイはエルサレム滅亡前のソロモン王が建てた神殿を見たことがあると想像できる。そうすると、ハガイはこの時すでに80歳を越えていたことになる。


【質疑応答】 

預言者は時にはその時代の王様が良しとしている異教の礼拝などをやめるように民に伝えることがある。そのような時に、王様の方針に反対する者として捕らえられたり迫害されたりすることはあったのだろうか。


ダビデ王の子孫である王たちは、主なる神様(ヤーハウェ)を信じるべきであると子々孫々と伝えられてきましたが、だからこそ、それは古い考えで、アッシリアやバビロニアのような大国に迎合するためにも、それらの異教の神々を取り入れる必要があると考えた王もいたことでしょう。具体的には、マナセ王の時代に、預言者が偶像礼拝を非難しましたが、列王記下21章16節に「罪のない者の血を非常に多く流し」たとあり、これが預言者に対する迫害と考えられています。


【感想】 

・2章4節にある「勇気を出せ」という直接的な励ましの言葉は、とても力になると感じた。

・ハガイが預言を行ったのはわずか4ヶ月間だけとされており、そのような短い期間の働きであるにもかかわらず、聖書の中に記されているのは、それだけその働きが重要だったということの表れなんだろうと思った。

(担当/橘内玲子)

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