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執筆者の写真明裕 橘内

青年たちの聖書研究~第24回『イザヤ書」』編②

イザヤ書は長かったので、2回に分けて学びました。今回は後半です。


【復習:イザヤ書 1~39章について】

 

イザヤ書の前半は神に立ち返らない民に神の裁きが来ることを警告しているが、結局、南ユダ王国の人々はイザヤの預言の声に聞き従うことはなかった。

イザヤは神からの幻でバビロン捕囚が避けられないことを悟るが、神は、バビロンに連れて行かれる人々に向けて、バビロン捕囚からの解放の預言をイザヤに授けた。次の後半40章から66章までは「希望と回復」の預言、40章の始まりの言葉「慰めよ、わたしの民を慰めよ」は、これまでの預言と異なる明るさを持っている。

そして、その預言の多くは、遠い将来のイエス・キリストによる全人類の罪からの解放という「メシア預言」を含んでおり、希望に満ちた預言となっている。

 

 

【イザヤ書の内容】

 

*40章~48章 バビロン捕囚からの解放と神の偉大さ

 

1.苦役からの解放

40章 1~2節

慰めよ、わたしの民を慰めよと/あなたたちの神は言われる。

エルサレムの心に語りかけ/彼女に呼びかけよ/苦役の時は今や満ち、彼女の咎は償われた、と。罪のすべてに倍する報いを/主の御手から受けた、と。】

捕囚からの解放、主からの罪の赦しが、宣言されている。

 

2.イスラエルに対する神の愛

41章 8~9節

わたしの僕イスラエルよ。わたしの選んだヤコブよ。わたしの愛する友アブラハムの末よ。

 

わたしはあなたを固くとらえ/地の果て、その隅々から呼び出して言った。あなたはわたしの僕/わたしはあなたを選び、決して見捨てない。】

 

3.偶像に頼ることの愚かさ

41章 29節

【見よ、彼らはすべて無に等しく、業もむなしい。彼らの鋳た像はすべて、風のようにうつろだ。】

 

4.他国の王さえもその主権のもとにか置かれる神

45章 01節

【主が油を注がれた人キュロスについて/主はこう言われる。わたしは彼の右の手を固く取り/国々を彼に従わせ、王たちの武装を解かせる。扉は彼の前に開かれ/どの城門も閉ざされることはない。】

 

49章~55章 エルサレムの回復

 

4つの「しもべの歌」

1.第一の「しもべの歌」:42章1~4節

1節からの主語「わたし」は神様で、しもべはイエス様であり、このしもべは「国々の裁きを導く」存在でる。2節の「声をちまた響かせない」は、新約聖書のイエス様の生涯を見ると、いつもご自分のことを公にしないように語っておられたことと合致する。

3節の「傷ついた葦、暗くなっていく灯心を消すことなく」とは、弱い立場の人々に仕えるイエス様のお姿であり、イエス様は、地上での生涯において、いつも虐げられている人々の味方であった。また別の意味では、「傷ついた葦、暗くなっていく灯心」は、神の律法という解釈もあり、イエス様は曲がった神の律法をまっすぐに正し、消えそうな神の正しい教えを再び燃え立たせるために来られたということとも読み取れる。

 

2.第二の「しもべの歌」:49章1~13節

1節の主語「わたし」はイザヤであり、3節~は「」がないので、「わたし」が神様であったり、イザヤであったりする。13節にあるように「主はご自分の民を慰め、憐れんでくださった」ことに、注目したい。

 

3.第三の「しもべの歌」:50章4~9節

4節の主語「わたし」はイザヤであると考えられるが、6節はイエス様の十字架への出来事を思い起こさせる。

 

4.第四の「しもべの歌」:52章13~53章12節

13節「わたしの僕」は、神の僕として、イエス様の受難が示されている。

53章 05節

【彼が刺し貫かれたのは/わたしたちの背きのためであり/彼が打ち砕かれたのは/わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによって/わたしたちに平和が与えられ/彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。】

 

56~66章(異邦人への救いの拡大)

1.異邦人の救い

56章 6~7節

主のもとに集って来た異邦人が/主に仕え、主の名を愛し、その僕となり/安息日を守り、それを汚すことなく/わたしの契約を固く守るなら

わたしは彼らを聖なるわたしの山に導き/わたしの祈りの家の喜びの祝いに/連なることを許す。彼らが焼き尽くす献げ物といけにえをささげるなら/わたしの祭壇で、わたしはそれを受け入れる。わたしの家は、すべての民の祈りの家と呼ばれる。】

 

2.神に従う者と逆らう者の対比

 57章 15節

高く、あがめられて、永遠にいまし/その名を聖と唱えられる方がこう言われる。わたしは、高く、聖なる所に住み/打ち砕かれて、へりくだる霊の人と共にあり/へりくだる霊の人に命を得させ/打ち砕かれた心の人に命を得させる。】

57章 21節

神に逆らう者に平和はないと/わたしの神は言われる。】

 

3.イエス様の初臨と再臨の預言

 61章 1~3節

主はわたしに油を注ぎ/主なる神の霊がわたしをとらえた。わたしを遣わして/貧しい人に良い知らせを伝えさせるために。打ち砕かれた心を包み/捕らわれ人には自由を/つながれている人には解放を告知させるために。

主が恵みをお与えになる年/わたしたちの神が報復される日を告知して/嘆いている人々を慰め

シオンのゆえに嘆いている人々に/灰に代えて冠をかぶらせ/嘆きに代えて喜びの香油を/暗い心に代えて賛美の衣をまとわせるために。彼らは主が輝きを現すために植えられた/正義の樫の木と呼ばれる。】

2節の「主が恵みをお与えになる年」とは初臨、「神が報復される日」は再臨を示す。

 

その他には戦いの描写と思われる預言があるが、それらは再臨されるイエス様と、この世の悪の勢力との戦いについてである。これらは新約聖書の黙示録の預言と合致する。

 

4.「新天新地」の預言

66章 22~23節

【わたしの造る新しい天と新しい地が/わたしの前に永く続くように/あなたたちの子孫とあなたたちの名も永く続くと/主は言われる。

新月ごと、安息日ごとに/すべての肉なる者はわたしの前に来てひれ伏すと/主は言われる。】

新しい月ごとに聖餐式、日曜日ごとに礼拝を行っている、御影ルーテル教会の信仰生活は、今もなお、イザヤの預言が成就していると感じる。

 

 

【注目点】    

・よく知られた聖書箇所など

 40章 7~8節

草は枯れ、花はしぼむ。主の風が吹きつけたのだ。この民は草に等しい。

草は枯れ、花はしぼむが/わたしたちの神の言葉はとこしえに立つ。

 

 40章 29~31節

疲れた者に力を与え/勢いを失っている者に大きな力を与えられる。

若者も倦み、疲れ、勇士もつまずき倒れようが

主に望みをおく人は新たな力を得/鷲のように翼を張って上る。走っても弱ることなく、歩いても疲れない。

 

41章 10節

恐れることはない、わたしはあなたと共にいる神。たじろぐな、わたしはあなたの神。勢いを与えてあなたを助け/わたしの救いの右の手であなたを支える。

 

43章 1~4節

ヤコブよ、あなたを創造された主は/イスラエルよ、あなたを造られた主は/今、こう言われる。恐れるな、わたしはあなたを贖う。あなたはわたしのもの。わたしはあなたの名を呼ぶ。

水の中を通るときも、わたしはあなたと共にいる。大河の中を通っても、あなたは押し流されない。火の中を歩いても、焼かれず/炎はあなたに燃えつかない。

わたしは主、あなたの神/イスラエルの聖なる神、あなたの救い主。わたしはエジプトをあなたの身代金とし/クシュとセバをあなたの代償とする。

わたしの目にあなたは価高く、貴く/わたしはあなたを愛し/あなたの身代わりとして人を与え/国々をあなたの魂の代わりとする。

 

45章 15節   

まことにあなたは御自分を隠される神/イスラエルの神よ、あなたは救いを与えられる」と。

「隠れたる神」の概念はルターの神学と特に密接な結び付きを持つ。

ルターの「隠れたる神」は、人が感覚しうるもの、所有しうるもの、理解しうるものに、隠されている、の意味である。 それ故、信仰にのみ啓示される。 1513年ー1515年の「詩篇講解」において、ルターは創造者なる神を隠されたる神として評価した。

 

 

61章 10節

わたしは主によって喜び楽しみ/わたしの魂はわたしの神にあって喜び躍る。主は救いの衣をわたしに着せ/恵みの晴れ着をまとわせてくださる。花婿のように輝きの冠をかぶらせ/花嫁のように宝石で飾ってくださる。

 

【感想】

・イザヤはイエス様が生まれるかなり前の預言者であるにもかかわらず、イエス様の降誕の預言をしており、神様の計画の壮大さを感じた。

・異邦人の救いにも言及されており、この時代の常識からすると、かなり新しい預言だったのではないかと思った。

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