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執筆者の写真明裕 橘内

青年たちの聖書研究~第16回『ネヘミヤ記』編~

今月は、昨年12月に開催した第16回 聖書研究会 「ネヘミヤ記」の内容のご紹介です!あれからもう半年が過ぎたんですね・・・。


【ネヘミヤ記について】

・エズラ記とネヘミヤ記はバビロンからの帰還、神殿やエルサレムの再建、ユダヤ人の生活の復興に関する物語で紀元前538年~430年の約100年間にわたる。

神殿再建には祭司エズラ、城壁再建には総督ネヘミヤが尽力をした。後にユダヤ教と呼ばれる宗教共同体が形成されていくが、その過程で祭司エズラと総督ネヘミヤが重要な働きをした。

・1448年までのへブル語聖書では、エズラ記とネヘミヤ記は一つの書として、「エズラ」と呼ばれていた。

・ネヘミヤはペルシアの王の献酌官(重要で有力な特権的な地位)であったが、エルサレムの荒廃した様子と民の悲惨な状態を知り、王に帰国を願い、総督に任命された(紀元前445年)。帰国後、他国人による執拗な妨害にもかかわらず、わずか52日間で城壁を再建した(6:15)。ネヘミヤは祭司エズラと共にユダヤ人の間で宗教改革を行った。城壁再建が完成した時、エズラに律法の書を朗読するように求め、ユダヤ人はその定めに従って歩むことを約束した。ネヘミヤは総督としての任務にあたった12年間(5:14)、貧しいユダヤ人のことを考えて総督としての給与を受け取らず、かえって自費で多くの人々を養った(5:14~18)。その後、ペルシアに戻った。またエルサレムに帰って来た(13:6,7) 。ネヘミヤが不在の間、エルサレムでは再び様々な異教的な悪が行われるようになっていた。そこで帰国後、ネヘミヤは新たに改革を行わなければならなかった。(13:7~31)。

・ネヘミヤの働きは祈りで始まり(1章)、ネヘミヤ記の最後は祈りで終わっている。


【ネヘミヤ記のあらすじ】

*ネヘミヤの帰還と城壁の再建

1章 献酌官として王に仕えていた(11)ネヘミヤは、エルサレムの城壁は打ち破られたままである(3)と聞いて、祈った(5)。

2章 ネヘミヤはエルサレムに到着し、城壁を調べた(13)。祭司や貴族や役人(16)

に報告すると、「建築に取りかかろう」と応じた(18)。ところがトビヤとゲシェムはあざ

笑った。

3章 自分の家の前(23)など、人々は城壁や門は補強した。再建に励む者をあざける敵もいた(37)。

4章 アラブ人やアンモン人はエルサレムの城壁の再建が進み、破損の修復が始まったと聞いて、エルサレムに攻め上り、混乱に陥れようとした(2)。ネヘミヤは「敵を恐れるな。家族のために戦え。」と言った(8)。ユダの人々は武装しながら、建築作業を行った(12)。

5章 ネヘミヤは、貴族や役人に(7)、同胞の畑や家や利子や食物などの負債を帳消しにするように命じた(11)。ネヘミヤは12年間長官の給与を受け取らなかった。

再建作業がこの民にとって重荷となっていたから(18)。【心に留めてください】

6章 サンバラトのなどの反対があったが、城壁は52日間で完成した(15)。諸国の民も神の助けによってこの工事がなされたのだということを悟った(16)。トビヤはユダの貴族と頻繁に手紙のやり取りをし(17)、ネヘミヤに脅迫の手紙を送った(19)。

7章 ネヘミヤは、民を集め、家系に従って登録させようとしたところ、ゼルバベルと共

に最初に帰還した人々の名簿を発見した(11)。


*律法の書に対しての罪の告白と誓約

8章 祭司エズラは夜明けから正午まで律法の書を読み上げた。民は皆、その律法

の書に耳を傾けた(3)。そして、レビ人は神の律法の書を翻訳し、意味を明らかにしな

がら読み上げたので、人々はその朗読を理解した(8)。総督ネヘミヤと祭司であり書

記官であるエズラは民全員に言った(9)。「今日は聖なる日だ。悲しんではならない。

主を喜び祝うことこそ、あなたたちの力の源である」(10)律法に記されている(14)仮

庵祭を行った。

9章 その月の24日に、イスラエルの人々は集まってその日の四分の一の時間は主の律法の書を朗読し、他の四分の一の時間は主に罪の告白し、ひれ伏していた(3)。天地創造(6)、アブラハム(7)やモーセ(14)、そして王や祭司も律法に従ってきませんでした(34)と、歴史的に重ねられた不従順の罪を告白した。

10章 神の律法に従って歩み、主の戒めをすべて守り、実行することを誓った(30)。

安息日を守り、7年ごとに負債を免除する(32)。初物を主の神殿にささげる(36)。地

の産物の十分の一はレビ人のために納める(38)など、神殿にささげることをおろそ

かにしません(40)と誓った。


*その後のネヘミヤの活動

11章 民の長たちと、他の民十人のうち一人がエルサレムに住んだ(1)。

12章 ゼルバベルと共に帰還した祭司とレビ人の名簿。ネヘミヤとエズラの時代に

奉仕した(26)。エルサレムの城壁の奉献に際して、人々はレビ人をエルサレムに来

させて、感謝の祈りとシンバルなどに合わせた歌をもって、奉献式と祝典を行った

(27)。

13章 ネヘミヤはレビ人と詠唱者を集め、務めに就かせた(11)。安息日に仕事をしないで、安息日を聖とするように命じた(22)。異民族と結婚することを禁じた(27)。祭司とレビ人に守るべき務めを定め、それぞれその任務に就かせた(30)。定められた時にたきぎを奉納し、初物をささげるように定めた(31)。


【注目点】

*13:1「その日」は、6節から考えて、城壁が完成してから十数年後。


*ネヘミヤ記の最後の13章では「ネヘミヤの改革」として、イスラエルの人々の信仰生活を整えて、イスラエル(3)という信仰共同体が永続するように仕組み作りに取り組んだ。ペルシアの王の高官であったから、そのような働きができたと考えられる。

後にユダヤ教と呼ばれる宗教共同体の形成にネヘミヤが最大の貢献をしたが、このネヘミヤ(「主は慰めてくださる」という意味)の求めたことは、神様の御心に留めてくださること、神様の慈しみ、み恵みであった。


わたしの神よ、それゆえわたしを心に留め、神殿とその務めのために示した、わたしの真心を消し去らないでください(14)。


わたしの神よ、このことについてもわたしを心に留め、あなたの大いなる慈しみによって、わたしを憐れんでください(22)。


わたしの神よ、わたしを御心に留め、お恵みください(31)。


*ネヘミヤの尽力なくしては、信仰共同体は存続しなかったので、ネヘミヤの業績を心に留めていきたい。



【質疑応答】

① 1:11献酌官とはどんな仕事?

ペルシア帝国の宮廷で、王のぶどう酒の毒味をして王の杯に注ぐ高位の官位。


② 2:11「機嫌を損ねた」のはなぜ?

ホロニ人サンバラトとアンモン人トビヤにとっては、イスラエルの人々のためになることをしようとする人(ネヘミヤ)は、敵であるとみなされた。

③ 2:11 エルサレムの現状を見て回るのをなぜ夜に行ったのか?昼間に堂々とできなかったから?

トビヤなどのように、エルサレムの城壁の再建と聞いて、機嫌を損ねて妨害をする異邦人がいたから。


④ 9:26 改心ではなく、「回心」という考え方がこの当日からあった?

改心は、今までの行いを反省し、心を改めること。

回心は、キリスト教で、罪のゆるしと洗礼によってひきおこされる、心の大きな転換。また、回心は罪から方向転換をして、神に向かうこと。従って回心は不従順の罪に対する悔い改めと、神に対する信仰の二要素を含む。


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