第13回 聖書研究会 「歴代誌上」の内容のご紹介です!
【歴代誌上について】
・歴代誌はサムエル記や列王記など(歴代誌上29:29)を参考資料として、アダムからバビロン捕囚の帰還までが記されている。
・著者(エズラと言われている)も読者もバビロン捕囚から帰還したばかり人々であったので、系図によって先祖と結びつける必要があった。この多くの系図によって、イスラエルの民が神に選ばれ愛されている特別な民であることを原点として、今後の方向性を示すために書かれた。
・ダビデこそが神の箱をエルサレムに運び入れ、神殿建築の準備をし、奉仕者を配置した人物であることが示されている。ダビデが高齢に達した時には、富と栄光に恵まれた人生であったと満足した。死後、息子ソロモンに王位は継承された。
・歴代誌上では、祭司、その補助者、詠唱者、門衛と、レビ人の奉仕や担当者などが、事細かに記述されている。
レビ人はレビの子孫でイスラエルにおける祭司階級。初めはレビ人と祭司は同義語であったが、祭司がレビ族出身のアロンの子孫に限定されるようになってからは、祭司の下位にあって宗教的公務を果たす階級を示すようになった(民数記3章)。レビ人は神殿の奉仕に就いた(歴代誌上24~26章)。
・紀元前1010年頃から紀元前970年頃の出来事
【歴代誌上のあらすじ】
*アダムから捕囚まで
1章 アダムからアブラハムの系図。
2章 イスラエル(ヤコブ)、ユダの子孫。
3章 ダビデ、ソロモン、南ユダの最初の王レハブアムから最後の王ゼデキヤ、捕虜となった子孫。
4章 ユダの子孫。ヤベツの祈り(9〜10)。
5章 ルベン、ガド、マナセの子孫、大祭司の系譜(血縁関係以外も含める)。
6章 レビの一族からダビデによって主の神殿で詠唱の任務に就けられた(16)。
7章~8章 イサカル、ベニヤミン、ナフタリ、マナセ、エフライム、アシェル(4:35)の子孫。
9章 捕囚期の後、最初に自分たちの町の所有地に帰って住んだのは、イスラエルの人々、祭司、レビ人、神殿の使用人であった(2)。
*神殿建設の基礎を築いたダビデ
10章 サウルは主の言葉を守らなかったので死んだ(13)。【サムエル記上31章】13、14節が加えられている。
11章 ダビデ王の登場【サムエル記下5章】、ダビデの勇士たちの名簿
12章 ダビデの勇士たちの名簿【サムエル記上27章よりも詳しく】
13章 神の箱を迎えに行く、ウザが打ち砕かれ、オベド・エドムの家が祝福された。【サムエル記下6章】
14章 ティルスの王から王宮建設の材料や人材を送られた。【サムエル記下5:11~】ペリシテ軍に勝利する。
15章 神の箱をレビ人たちが担ぎ(2)、イスラエルの人々は喜びの叫びをあげた(28)。
16章 神の箱を運び入れ、天幕の中に安置し、献げ物をささげた。ダビデは民を祝福し、レビ人の幾人かに賛美の務めを託した(4、7)。【サムエル記下】よりも神の箱については13、15、16章で丁寧に語られている。
17章 ダビデの子が神殿を建てると、ナタンは預言した(11)。主の祝福を願う祈りをした(27)。【サムエル記下7章】
18章 ペリシテやモアブなど周辺の敵と戦い、勝利を収めた(1,2)。主はダビデに、その行先々で勝利を与えられた(6,13)。【サムエル記下8章】
19章 ダビデはアラム軍やアンモン人と戦い、勝利した。【サムエル記下10章】
20章 アンモン人の町ラバを占領した。【サムエル記下8章26~31】ペリシテ人に勝利した。【サムエル記下21章18~32】
21章 人口調査の罪のためにイスラエルの民7万人が疫病で倒れた(14)。オルナンの麦打ち場で主の祭壇を築かなければならないと、主はダビデに言われた(18)。【サムエル記下24章】ではアラウナの麦打ち場に祭壇を築き、献げ物をして疫病はやんだ、で終わっている。
22章 ダビデは神殿造営に必要な物資や人材を準備した。ソロモンに神殿を築くように、高官たちにソロモンを支援するように命じた(17)。
23章 レビ人はアロンの子らの傍らで(28)、主の神殿の奉仕を職務とした(24)。
24章 アロンの子孫は先祖アロンによって伝えられた法に従って主の神殿に入った(19)。
25章 ダビデと将軍たちはアサフ、ヘマン、エドトンの子らを選び分けて、奉仕の務めに就かせた(1)。
26章 門衛も組に分けて(1)、奉仕の務めに就かせた。
27章 家系の長、千人隊と百人隊の長、役人たちは王に仕えて、月ごとに交替する各組のあらゆる事柄に当たった。一組に2万4千人いた(1)。
28章 ソロモンが神殿建築を成し遂げると、ダビデはイスラエルの長たる者に宣言した(1)。
29章 神殿建築のために、ダビデそして部族の長なども自ら進んでささげた(9)。ソロモンを改めて王と宣言し、油を注いで主のものとし君主とした(22)。ダビデがイスラエルの王であったのは40年間(27)、高齢に達し、富と栄光に恵まれた人生に満足して死に、息子ソロモンが王となった(28)。
【注目点】
*【サムエル記、列王記】と【歴代誌】の違い
・列王記はサムエル記で始まった物語を完結するために書かれている。
・モーセ五書、サムエル記や列王記などに補足をして、歴代誌ではアダムからバビロン捕囚の帰還までが記されている。
・ウリヤの妻バド・シェバとの出来事(サムエル記下11章2節~12章25節)や、タマル、アムノン、アブサロムとの出来事(サムエル記下13章~15章)は 歴代誌では抜けている。近親者の事件は省略されている。
・人口調査の結果が、サムエル記下24章では罰である「疫病がやんだ」(24:25)で終わっているが、歴代誌では「ここにこそあるべきだ」と神殿建築の場所が決まったところで終わっている(22:1)。
・つまり、ダビデが、サムエル記では勇ましい戦士として、歴代誌では敬虔な礼拝者として描かれている。
・【サムエル記列王記】は、王座や王宮はどうであったのか、【歴代誌】は、祭壇や神殿がどうであったのかという視点で描かれていると言える。
【質疑応答】
①2:7 「滅ぼし尽くしてささげるべきこと」とはなんの事?
新改訳聖書では「聖絶」と翻訳されて、ヨシュア記において最も重要な思想。「聖絶」によって敵の人民や戦利品を神に完全にささげたことになる。忌むべき異教文化からの決別を意味した。
7章1節のアカンが6章17節で「聖絶せよ」とヨシュアに命じられていたのに盗み取った。
②21:1 人口調査はなぜサタンが誘ったと書かれている?良くないこと?
神の助けによって勝利してきたダビデであったが、徴兵できる人口を数えて軍事力を確認したかった。神よりも民の人数に信頼をし、自分の力量を誇示したかったので。
③歴代誌と列王記はどちらも歴史をたどっているという点では似ていると感じるが、特徴的な違いはあるのか?
サムエル記と列王記はイスラエルが王国となっていく歴史を表し、歴代誌は神の箱の持ち運びから神殿建築に至る礼拝の歴史を表すとも言える。
④くじ引きで決める場面が多く出てくるが、王(ダビデ王)が決めるよりも優れた方法だと考えられていた?
くじの結果は偶然ではなく、神の導きと信じられていた。
【感想】
・歴代誌と列王記は、読む前はどう違うのかよく分かっていなかったが、「王国」になる歴史と「礼拝」の歴史というワードを聞いて、少し理解ができてきたように感じた。
・歴代誌に再びアダムのことから書かれているのは知らなかったので驚いた。
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