今回は、「第5回 聖書研究会」の内容をご紹介します。テーマは「申命記」
第5回 聖書研究会 「申命記」
【申命記について】
・申命記は、モーセがイスラエルの民に告げた決別の説教
・神の命令がモーセによって再度告げられたという意味から「申命記」と名付けられた
「申」は中国語で「再」という意味があるから
中国語でも申命記と書く
・モーセ五書の締めくくりであり、ヨシュア記へと展開されていく
【構成】
1:1~5 序言、背景説明
1:6~4:43 過去を振り返る
4:44~28:68 神の教えを語る
28:69~30:20 教えの遵守
31:1~34:12 最後の言葉
【注目点】
1:1~5 序言、背景説明(5)モーセは律法の説き明かしの務めを行った。
ホレブは、シナイ山(モーセが律法を受け取った山)のこと。
アモリ人は、カナンの先住民のこと。
カナンは、出エジプト後、イスラエル民族が目指した土地。
1:15~16
役人には、民事上、軍事上の責任があった。文書の記録に関する言葉。
裁判人は、「士師」と訳されるのと、同じ言葉。
6:4 聞け、イスラエルよ。(シェマー イスラエル)
我らの神、主は唯一の主である。
6:5 あなたは心を尽くし、魂を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。
心は知性と意志、魂は感情、力は肉体的な力のこと
16:3 過越際の翌日から7日間続く祭りを除酵祭と言われる
16:13~16 三大祝祭日 除酵祭、七週祭、仮庵祭
【質疑応答】
質問1. 6章6節〜9節に書いてあることは本当に実行しているのか?
イスラエルの民は4節~5節を暗記し、共同の祈りの際に暗唱しなければならなかった。
現代でもユダヤ教ではこの言葉を聖句箱(テフィリン)と呼ばれる革製の小箱に入れて腕と額に結び付けて祈ることもある。
申命記の主題は、律法(神様からの命令)を大切にする、つまり遵守することである。
質問2. 12章16節に「血は食べてはならず」とあるが、血を含まない肉とはどんな状態の肉?今の感覚では、スーパーで買えるような肉をイメージすれば良い?
獲物を仕留めたら、現場ですみやかに「血抜き」という作業をするそうです。 肉の温度を下げ、腐敗を防ぐのが望ましいとされているためとのことです。
ですから、スーパーで買えるお肉は充分に「血抜き」ができていると考えていいです。
質問3. 22章8節 屋根に欄干をつけると罪に問われないとあるが、聖書に記述する必要があるほど屋根から人が落ちることはほとんど無いのでは?
古代中東の家の屋根は平らであった。暑い季節には屋上が涼しく、そこで夜は眠ったり、客の応接に利用されたりした。
現代でも、屋上を利用したカフェなどが見られる。
質問4. 27章15節は「アーメン」と出てきた最初の箇所?
民数記 5章22節が最初。
質問5. 「心を尽くし、魂を尽くして」という言葉が何度も出てくるが、これは決まり文句のようなものですか。
重要なことを語る前に置かれる言葉となっている。
「心を尽くし、魂を尽くして」という言葉が出てくる箇所をまとめると、以下のようになる。
*4章 29節
しかしあなたたちは、その所からあなたの神、主を尋ね求めねばならない。心を尽くし、魂を尽くして求めるならば、あなたは神に出会うであろう。
*10章 12節~13節
イスラエルよ。今、あなたの神、主があなたに求めておられることは何か。ただ、あなたの神、主を畏れてそのすべての道に従って歩み、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くしてあなたの神、主に仕え、わたしが今日あなたに命じる主の戒めと掟を守って、あなたが幸いを得ることではないか。
*11章 13節
もしわたしが今日あなたたちに命じる戒めに、あなたたちがひたすら聞き従い、あなたたちの神、主を愛し、心を尽くし、魂を尽くして仕えるならば、(15節 あなたは満足する)
*13章 4節
その預言者や夢占いをする者の言葉に耳を貸してはならない。あなたたちの神、主はあなたたちを試し、心を尽くし、魂を尽くして、あなたたちの神、主を愛するかどうかを知ろうとされるからである。
* 26章 16節
今日、あなたの神、主はあなたに、これらの掟と法を行うように命じられる。あなたは心を尽くし、魂を尽くして、それを忠実に守りなさい。
*30章 2節~3節
あなたの神、主のもとに立ち帰り、わたしが今日命じるとおり、あなたの子らと共に、心を尽くし、魂を尽くして御声に聞き従うならば、あなたの神、主はあなたの運命を回復し、あなたを憐れみ、あなたの神、主が追い散らされたすべての民の中から再び集めてくださる。
* 30章 6節
あなたの神、主はあなたとあなたの子孫の心に割礼を施し、心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神、主を愛して命を得ることができるようにしてくださる。
*30章 10節
あなたが、あなたの神、主の御声に従って、この律法の書に記されている戒めと掟を守り、心を尽くし、魂を尽くして、あなたの神、主に立ち帰るからである。
つまり、
主なる神様を愛するとは、律法を守ることである。
律法を守ることによって、私たちは神様の宝の民となり(7:6)幸いを得て、命を得る。
【意見交換】
4:25-28で主がモーセに語らせた偶像礼拝に対する警告があり、31:16で約束の地に入る直前になって(!!!)民が偶像礼拝をしてしまうという主の予告がなされている。その後実際にユダヤ民族は神様の怒りを買い、4:27の警告通りに離散してしまうことになる。この一連の部分を読んでどう思ったか。
・改めて「神様は本当に過去も現在も未来も見ておられる方だ」という畏れの念を抱いた。
・15章4節と11節とで矛盾した内容を神様が語っている。神様が言う通り行動できれば貧しい者がいなくなるが、実際には人間は完璧では無いので、貧しい者がいなくならないと分かっていたからではないか。(この箇所は人間が思いもよらないことで貧しくなってしまうこともあると言う意味も含んでいる。)
・神様は、偶像礼拝してしまうことがわかっていたはずなのに、予告するだけで、そうならないように対策を講じることは無かったのはなぜ?
→神様は、わたしたちを律法に繋ぎ止めとうとしているわけではない。律法を守る自由とともに、律法を守らない自由も同時に与えておられる。
【感想】
・聖書というと平和な書というイメージだったが、戦争についての記述もあり、現実的なことも多く書かれていると知った。
・6章10節・11節
イスラエル民族がカナンの土地に入ってすぐに生活できるように、先住民が建設した町やあらゆる施設を与えられたという箇所を読み、神様がイスラエル民族を愛しておられることを学んだ。
・19章5節に、「例えば〜」という記述がある。旧約聖書で例えを読むのは珍しいと感じた。
→士師たちは、レビ記等の聖書を拠り所として判決を下した。その時に判断に迷わないように例えを使っている。
・預言者と夢占いをする人が同列に書かれているように読めるが、預言者は正しい人では無いのか?
→当時は、本当の神様に仕える預言者以外にも、間違った方法で神様の言葉を聞くことができる人が存在した。そのタイプの預言者は神様に忠実ではないため、夢占いをするものと同列になっている。
・聖書の中で、繰り返し出てくる表現が大事なのだと思った。
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