「あなた(主なる神様)は、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。」(ヨナ書4章2節)
一般的な言葉として、「旧約聖書の神様は厳しくて、新約聖書の神様は優しい」と聞いたことがありますが、本当にそうでしょうか。
御影ルーテル教会青年会主催の聖書研究会のために、旧約聖書を詳しく読む機会が与えられ、たいへん感謝しています。
3年前の9月に「創世記」から始め、10月は「出エジプト記」、11月は「レビ記」と読み進めてきました。
「イザヤ書」や「エレミヤ書」などは長いので、2回に分けたりしながら、昨月は「ヨナ書」までたどり着きました。
レジメの作成のために、じっくりと旧約聖書を読み、また研究する時間が至福の時となりました。それは新しい発見がたくさんあるからです。
今まで知らなかった旧約聖書の世界に足を踏み込んでみますと、主なる神様のこと、救い主イエス様のこと、また主なる神様の霊について、学ぶべきだったことが多く、今まで知らなかったぁと、今更ながらに驚きの連続です。
さて、「ヨナ書」は4章、4ページだけですので、ご一読いただければ、うれしいです。おとぎ話のようですが、神様の愛と預言者ヨナの人間性が描かれています。旧約聖書において預言者は、神様からの語りかけを受け、様々な苦労を重ねながら、イスラエルの人々に神様の裁きを伝えるのですが、ヨナはそうではありませんでした。敵国アッシリアの首都ニネベに行くようにヨナは語られましたが、逆方向のタルシシュ(スペイン)行きの船に乗り、神様から逃れようとしました。大嵐になり、巨大な魚に飲み込まれてしまいました。
ヨナは三日三晩魚の腹の中にいて、そこで祈りました。すると「わが神、主よ。あなたは命を滅びの穴から引き上げてくださった。救いは主にこそある。」という思いに至り、魚はヨナを吐き出しました。その後、ヨナはニネベに行き、神様の語られた通り「あと四十日すれば、ニネベの都は滅びる。」と叫びました。するとニネベの人々は悔い改めたのです。
ヨナはこのことを大いに不満に思い、怒ったのです。それはニネベは強敵アッシリアの首都だったからです。この後、イスラエルはアッシリアに滅ぼされてしまいます。だから、ヨナはニネベは滅んで欲しかったのです。そこで、ヨナは神様に言います。「だから、タルシシュに逃げたのです。わたしには、こうなることが分かっていました。あなたは、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。主よ、わたしの命を取ってください」(ヨナ書4章2節)と、ふてくされてしまいます。このような時にこそ、日頃信じている次のような本音が出るのですね。
「あなたは、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。」
神様は忍耐強く、災いをくだそうとしても思い直されるお方ですので、大切な一人息子のイエス様をこの世に送ってくださり、私たちの罪の罰の身代わりとなって十字架にかかってくださいました。また、ヨナの不誠実さを通して、神様の誠実さの深さを語っているようにも思えます。旧約聖書の時代(紀元前)は悔い改めて、神様に立ち帰ることが求められてきました。人間の悔い改めに限界を感じ、ついに、神様が大切なイエス様をこの世に送ったくださった新約聖書の時代(紀元後)に生かされていることに感謝をして、信仰生活を歩んで参りましょう。
(きつない・れいこ)
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