どうして私がその苦労を背負わなければならないのか、意味がわからないと思われるような体験をされたことはおありでしょうか。そのような時は旧約聖書「ダニエル書」のダニエルを思い出していただければ幸いです。
ダニエルは最初の捕囚(紀元前606年)で、バビロンに行き、少年時代から宮廷に仕えました。イスラエルはバビロンの王に滅ぼされ、多くの人々はバビロンに連れて行かれたのです。ダニエルはイスラエルの王族の出身で、容姿が美しく、才能と知恵があり、知識と理解力に富んでいました。また、神の霊が宿っていたので、夢や幻を解くことができました。ですから、ついにはバビロンの王様の相談相手となりました。
しかし、そこに至るまでの道のりは平坦ではありませんでした。また、それからもいわれもない苦労が続きます。ダニエルは62歳で三人の大臣の一人となりましたが(ダニエル書6章1節~)、群をぬいて優秀であったために、他の大臣や総督に言いがかりをつけられ、ライオンの洞窟に投げ込まれました。ダレイオス王は食を断ったほど心配しました。
翌朝、「ダニエル、生ける神の僕よ、お前がいつも拝んでいる神は、救い出す力があったか」と、呼びかけました。ダニエルは神様を信頼していたので、その身に何の害も受けていませんでした(6章24節)。そして、以下のダニエル書6章 26~28節に続きます。
【ダレイオス王は、全地に住む諸国、諸族、諸言語の人々に、次のように書き送った。
「いっそうの繁栄を願って挨拶を送る。
わたしは以下のとおりに定める。この王国全域において、すべての民はダニエルの神を恐れかしこまなければならない。
この神は生ける神、世々にいまし
その主権は滅びることなく、その支配は永遠。
この神は救い主、助け主。天にも地にも、不思議な御業を行い
ダニエルを獅子の力から救われた。」
こうしてダニエルは、ダレイオスとペルシアのキュロスの治世を通して活躍した。】
広大な領土(日本の数十倍以上)を統治したダレイオス王が諸国の民に「ダニエルの神を恐れかしこまなければならない。」と命じました。「世々にいまし、その主権は滅びることなく、その支配は永遠。」は、ダレイオス王が言われたい最大級の褒め言葉と考えられます。
「この神は救い主、助け主」と、ダレイオス王が神様をほめたたえているとしか思えません。ライオンの穴に投げ込まれるほど苦労があったからこそ、王様が聖書の神様に信頼するに至りました。
大きな権力があり異教の神々を信じていた王様に、聖書の神様を信頼させるなどということは決して人間の努力ではなしえません。
「大きな苦労から大逆転」
どうして私がその苦労を背負わなければならないのかと、深くうなだれる時も、いつの日にか、問題解決にとどまらず、想像をはるかに越えた祝福がやってくると期待して祈り続けてみてください。
28節では、ダニエルはダレイオスとペルシアのキュロスの治世を通して活躍したとのことですが、このキュロス王がバビロンからの帰国を認めます。七十年間祈り願われてきた捕囚からの解放です。
主なる神様を忠実に信頼していたダニエルとの関わりによって、キュロス王が捕囚からの解放をなしえたのではないかと、今回、大きな気づきが与えられ、感謝でいっぱいになりました。
(きつない・れいこ)
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