あなたのお父さんとお母さんを敬いなさい。
問い これはどういう意味ですか。
答え 私たちは神を畏れ、愛さなければなりません。 ですから、両親や目上の人を馬鹿にしたり、 わずらわせたりしてはいけません。 そうではなくて、両親や目上の人を敬い、 仕え、従い、愛し、大切な存在として扱いなさい、 という意味です。
(マルチン・ルター著 結城浩訳 『マルチン・ルターの小信仰問答書』より
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暑い夏を過ごしていますが、いかがお過ごしでしょうか。
こうまで暑いと、何だかもうどうでもいい、と投げやりになりそうでもありますが、
私たちはそのような中でも、小教理の中から、どう生きるのかということを学んでいきます。
今月は、「あなたのお父さんとお母さんを敬いなさい」と教える第四の戒めを取り上げます。もしかして、「これが出来るようだったら誰も悩まない」といったたぐいの教えかもしれません。近い関係だからこそ、親子関係ほど難しいものはないのかもしれませんね。
ルターはそのような思いを知っていたのか、ここでは両親だけではなく、「目上の人」も含めています。息の詰まるような難しい人間関係の中に目上の人を入れることによって、少しでも風通りがよくなるように、ということと、ややもすると「親さえ大事にしていたらそれでいいんでしょう」と言いがちな人間たちに、「そうではなく、広く目上の人を大事にするのだ」と教えて、この戒めの深さ、重さを伝えようとしているようにも思われます。
併せて、イエス様の時代、またルターの時代、「両親を・・・」と言われても、疫病や戦乱などで、聞き手の側に既に両親を亡くしている人たちが多かった、ということも背景として考えられます。そのような人々が、この戒めを聞いて心曇らせることのないよう、ルターがよく配慮した、ということなのかもしれません。そこには、ただ冷たく「守りなさい」とだけ言って私たちを突き放すような神様の姿は全く見られません。むしろ、本当の親であるかのように私たちを温かく見つめる、神様の愛のまなざしがあります。
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