【第七の戒め】
盗みをしてはいけません。
[問い] これはどういう意味ですか。
[答え] 私たちは神を畏れ、愛さなければなりません。 ですから、私たちは隣人のお金や所有物を奪ったり、 詐欺によって得たり、 貧弱に作られたものを売りつけたりしてはいけません。 そうではなくて、 隣人が財産や経歴を増し加えたり、 守ったりできるように手助けしなければなりません。(結城浩訳 ルターの少教理問答書より)
「盗む」とは「空間移動」である、と言われることがあります。
ある場所から別の場所へ、悪い意図を持って、何かを移動させるわけです。
しかし、近年は、騒音などで人々の平穏な心を奪う、
また、慌ただしい社会の中で人々のゆとりを奪い、時間を盗むなど、
別の概念の「盗む」ということも出てきている、と指摘したのは、
キリスト教哲学者の今道友信氏でした。
単に「私は何も物を盗んでいません」と言うだけではなく、
誰かの大事な平穏を奪っていないか、時間を盗んでしまっていないか、
よく点検することも必要かもしれないですね。
しかも、ルターが言うには、
「隣人の財産などを増し加え、守る」という積極面も、
この戒めにおいては重要だ、ということです。
こちらの、周囲の人々の暮らしをアシストし、サポートするという面は、
現代の、人と人との距離が離れつつあり、
特にこのコロナ禍において、
人と人とのつながりが希薄にならざるを得ない中で、
失われつつあるかもしれません。
最近はラジオでも「いいおせっかいをしていこう」と呼びかけられるのを聞きますが、
単に「盗まない」という禁止面だけでなく、
周囲を豊かにして生きる、という面も、
この戒めの中では大事にされていることを、
忘れないでおきたいものです。
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