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  • 執筆者の写真明裕 橘内

とってもやさしいルターの小教理問答書講座 第20回

【主の祈り 三番目の願い】

みこころの天になるごとく、地にもなさせたまえ。

〔 あなたの意志が天国で成就するように、地上においても成就しますように。 〕

問い これはどういう意味ですか。

答え もちろん、神の正しく恵み深い御心は、私たちが祈らなくても成就します。 しかし、私たちはこの願いを通して、 神様の御心が私たちにおいても成就するようにと祈るのです。

問い どのようにしてそれが起こりますか。

答え 神様が、 神の国を到来させまいとする すべての悪しき意志、すべての悪しき助言を打ち砕き、阻止するときです。 それらの悪しきものとは、悪魔や、この世、それに私たちの肉の欲からでた意志です。 また神の御心が私たちの上に成就するのは、 神様が信仰と神の御言葉によって私たちを強め、 人生の終わりに至るまで私たちを信仰深く生かしてくださるときです。 これこそ、正しく、恵みにあふれた神様の御心なのです。

(結城浩訳 『ルターの小教理問答書』より)



主の祈りの中の三番目の祈りは、神様の「みこころ」についての祈りです。「みこころがなりますように」との願いです。


「神の正しく恵み深い御心は、私たちが祈らなくても成就します」との、ある意味でそっけない答えから、私たちは、「みこころがなりますように」とは言いながら、いつの間にか「私の思う通りになりますように」と願い、そのために神様を利用していることがある、ということに気付きます。私たちからの影響力(それがあればの話ですが…)に左右されることなく、みこころは実現するのです。その時に、それが「私の思い」ではなく、確かに「神様の」みこころであることを悟るのです。


そのように、世界が「私の思惑」で動いているのではないことを知ることは、実は重要なことであるのかもしれません。願い通りにならないことを通して、私たちは逆説的に、この世に神様がおられることを知る。私の思いをはるかに超えて、みこころを実現させておられる神様が確かに存在するのです。


その神様が、時に私たちの願いを聞いてくださることもあるからこそ、それが神様の恵みとして感じられるのだし、私たちの心にも感謝が生まれるのです。あくまでこの場合、神様の方に主導権があるということ、忘れないでおきたいものです。

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